· 

母原病

お母さんの悩み
お母さん::「家の子はまるっきり勉強しなくてこまっているのですよ、何とかできませんか」
私::「お母さん、お子さんに勉強しろと強く言いすぎていませんか?」
お母さん::「そうなんです。私があまり強く言うためにやる気が無くなっているのが原因かもしれません」

お母さんの期待
 中学受験は親の受験です。親の期待が受験に反映します。立派な家庭であればあるほど、できるだけ良い学校入れたいと思います。また医者など家業を継がせる為に勉強ができる必要がある場合もあるでしよう。

お母さんの怒り
 子供は素直で真面目な子供です。しかも小学生故に素直に親の期待を自らの目標として頑張ります。そして親の言うとうり有名中学受験塾へ通います。
 有名中学受験塾では能力の高い子に合わせたレベルの高い授業が行われています。やる問題もひとつひとつが難しく、しかも速く進んでいきます。しかも集団指導で分からないところが出てきても聞くことができません。その結果次第に成績が落ちていきます。
 このとき母親は焦って子供を叱ります。「どうしてもっと勉強しないの?」。母親は勉強しないのが原因だと思っているためもっと勉強させようとします。
 子供は机に向かって勉強しているポーズをつくって親の怒りをやり過ごします。親は真剣に勉強していないと更に怒ります。子供は親の怒りをやり過ごす、親は更に怒るという悪循環が続きます。ひどい時には叩いて勉強させようとします。そして子供の心には勉強は嫌いだという気持ちが芽生えます。

反抗期
 こんな関係が数年続いて中学受験が終わります。子供もある程度の有名校に入学します。
 この頃から子供はそろそろ反抗期に入ります。反抗期に加え中学受験期に長い間、無理やり勉強した経験から勉強が嫌だという感情がわいてきます。まるっきり勉強しなくなって学年ビり、やる気を失ってしまいます。

勉強をしない真の原因
 お母さんは子供の勉強しなくなった原因を誤って理解しています。「勉強しない」から成績が下がった訳ではありません。「勉強が分からない為、辛くて勉強ができなかった」のです。
 集団指導だったことも原因の一つです。
 すなわちその子に合ったレベルに戻す事が必要だったのです。

治療
 治療には3つの問題があります。一つはお母さんの問題、2つ目は子供の問題、そして3つ目は塾の問題です。

一つ目のお母さんの問題 
 治療には親の過干渉を除かなくてはなりません。お母さんは子供に対して心配でなりません。反抗期に入った事もあり、どうせ中学、高校になれば離れていくだけだからそれが早まったと考えるほうが良いでしょう。

二つ目の子供の問題
 子供は深く傷ついています。勉強することに抵抗をもっています。塾ではさらに子供を追い詰めないようにしなければいけません。そのため宿題等の子供の負担を減らさなくてはなりません。

三つ目の塾の問題
 それと並行して自立学習で自分のペースで学ぶことを教えなくてはなりません。教科書の読み方を教え、ノートを作り、1つ1つの勉強を楽しむようになれば変わります。良く分かる勉強をさせ、勉強がこんなに楽で楽しい物だという事を教える必要があります。

 しかし深く傷ついた心、すなわち勉強が嫌だという気持ちは簡単に治らないかもしれませんが、この方法でたくさんの子供たちが立ち直ったのも事実です。
 子供は勉強のやり方を教え、しばらくすると目の力が変わってきます。目に力が入ってきます。姿勢が変わってきます、すなわち背筋が伸びてくるのです。そして勉強スピードが増してきます。